小学校高学年の頃、うさぎを飼いたがった。
もともと犬や猫には興味がなく、動物の中ではうさぎが一番好き。
親戚の家や小学校で飼っていたのが可愛くて、
自分も飼いたいと思ったのだ。
しかし、我が家はマンション暮らしなうえ、母が動物嫌い。
ある程度分別のつく年齢になっていた私は、
ペットを飼うなんて、はなから無理だと分かっていたので、
自分の希望を主張して親を困らせたことはない。
ペットを全く飼ったことがないわけではない。
我が家で最初に飼ったのは、金魚。
夏祭りですくったヤツを育てるべく、
父と一緒に水槽や藻やエサを買いに行き、ベランダで飼った。
「キンちゃん」などと如何にも安易な名前を付け、
時折眺めて楽しんだものだ。
しかし、金魚すくいの金魚の寿命は短く、
やがて、水面に浮かんで死んでいるところを発見。
可愛そうなので、マンションの植え込みに穴を掘って埋め、
石で囲って、アイスキャンデーの棒を立て、お墓に見立てた。
似たような経験は他にもある。
おてんばだった私は、公園でコオロギを捕まえてきて、
「コロちゃん」と命名、またベランダで飼うことにした。
コロちゃんの家には、主を失い空になった水槽を利用し、
エサには茄子とキュウリを与えたが、これもまた、やがて死んでしまう。
その時もキンちゃん同様、マンション植え込みにお墓を作ってやった。
ちなみに、キンちゃんの墓もコロちゃんの墓も、数日後様子を見に行くと、
周囲の石ころやアイスの棒は、決まって跡形もなく撤去されていた。
恐らく、清掃員のおじさんに見つかり、整備されてしまったのだろう。
そう言えば、近所のどぶ川でおたまじゃくし(命名「タマちゃん」)を
捕らえて、飼ったこともある。
ただ、おたまじゃくしは、金魚やコオロギとは違い、
いつまでもおたまじゃくしでいるわけではない。
黒い体に手足が生えてきた時点で、
間もなくカエルになるのを気味悪がった母の厳命で、
また元の場所へ帰すハメになったのであった。
今、またペットを飼いたいかといえば、飼いたくはない。
世話が面倒だし、いずれ訪れる別れは悲しい。
そして、何より、大人になった私は、
少々潔癖症気味であり、動物に触れるのが苦手だ。
動物が恋しくなれば、たまに水族館へ行ったり
テレビで自然番組を見たりする程度がちょうど良いと思う次第である。
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