私が一番好きなジブリ作品と言えば、
ちょっとマイナーなのだが、『耳をすませば』である。
好きすぎて、10年くらい前、ネット上でアニメの主人公と同じ
“雫ちゃん”というハンドルネームを騙っていたことがあるほどだ(恥)
初めてテレビ放送を見たのは、10代後半の頃。
雫は、自我を確立できずいつもどこか迷っていた
思春期の私に似ていて、心の中にスッと入ってきた。
特に似ていると思ったのは、進路に迷っていたこともそうなのだが、
父親とケンカし口を利かなくなるシーンである。
昔、私は父とよくケンカした。
中学の頃だったが、何日も全く口を利かなかったことがある。
原因は忘れたが、ただ顔を見るのもイヤで、疎ましかった。
私に大人が手を付けられないような反抗期はなかったと思うが、
今思えばあれは人生最大の反抗期だった。
そんな父も、私が大学生になった頃には、
仕事を退職し悠々自適に暮らしていた。
朝夕は私を駅まで送り迎えしてくれ、
昼間は母と買い物やドライブや外食に出掛けていたようだ。
私の気持ちも成長と共に落ち着いて、この頃には
私から誘って父と二人で映画を見に行くほど仲良かった。
ただ、車の免許を取った後、父と運転の練習をした時だけは
すぐケンカになり、結局イヤになってやめてしまったけれど。
父が亡くなって、4年の歳月が経とうとしている。
思い返せば、長かったようなあっと言う間のような不思議な感じ。
ただ、当時は、父のいない生活なんて考えられないと思ったけれど、
今は母と二人、写真の奥に佇むその笑顔に見守られながら
平穏に日々を送っている。
そういう意味では、今も、そしてこれからも、
以前と何も変わらない、3人の暮らしが続く。
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